士業でWEBからの集客を行う際、競合相手との差別化は大きな課題です。特に、似たようなサービスや案件を扱っている競合がいる場合、どう違いを見せて行くのかは悩みどころだと思います。このとき、自社を取り巻く環境や要素などを詳しく分析することは非常に重要になってきます。
でも、いったい何を調べたらいいのかわからない。そんな時に便利なのが、「3C分析」と呼ばれるマーケティング手法です。マーケティングの基本としてよく挙げられるので、押さえておいて損はありません。今回は、web集客を目指す士業サイトに関する分析はどのような手順で、何を調べればよいのか、3C分析を用いて具体的に順を追って説明したいと思います。
3つのC
3Cとは「Customer(顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」、それぞれの頭文字をとったもので、3C分析とは、この3つの視点から分析を行っていくというフレームワークです。これにより、顧客を理解し、競合相手との差別化を図り、自社の強みを活かした効果的な集客サイトを構築することができるのです。
3C分析は「顧客⇒競合⇒自社」の順で行うのがよい
よく行われるのが、「顧客」、「競合」、「自社」の順で考える方法です。まず、顧客のニーズを明らかにしておいてから、競合相手、自社の分析を行うことで、スムーズに分析を進められます。
Customer:顧客、市場の真のニーズを把握
まず、顧客分析を行いましょう。顧客分析で押さえておきたい代表的なポイントがこちらになります。
- 顧客の年齢層、男女比、購買特性、地域構成
- 市場の規模、成長性、ニーズ、購買決定までのプロセス
ここで最も重要なことは、顧客の本当のニーズをつかむということです。表層的なニーズに囚われてしまうと、顧客の真のニーズからずれたものを提供することになってしまうので注意が必要です。真のニーズを知るためには、顧客の意見を聞く場を設けることが理想ですが、それが難しい場合でも、ネット上で情報を収集することが可能です。たとえば、ブログやソーシャルメディアでの意見、Q&Aサイトでの相談事例など、顧客のニーズを知るための情報ソースはたくさんあります。積極的に利用してみましょう。
Competitor:競合相手を正しく設定し、特徴を調べつくす
次に、競合相手の分析です。商品やサービスそのものの分析や、店舗がある場合はその店舗調査なども行っておきたいところですが、WEBサイトだけでも、次のような調査が行えます。
- 競合のコンセプト、戦略、強み、弱み
- サイトデザインのユーザビリティや特徴
- ソーシャルメディアの活用状況
検索という行動が日常化し、他社競合と比較されるのが当たり前になった今、競合の調査はとても重要です。競合サイトの活動状況や、どのような集客に力を注いでいるかなどについては、SimilarWeb(アクセス分析サイト)などを利用することである程度の情報は簡単に把握できます。ぜひ、活用してみてください。
Company:自社の分析を徹底して行う
最後に、自社(Company)についての分析を行います。自分のことだからと言って手を抜かず、競合をチェックする時と同じ姿勢で、しっかりと行うことが大切です。
- 自社の強み(独自のサポートやサービス)、弱み、特徴
- 自社サイトへのアクセス状況
- コンテンツに活かせる独自のリソース
こうした部分を中心に自社を見つめ直してみてください。自社サイトの分析は、アクセス解析からも行えます。特に、常に人気のあるコンテンツ、滞在時間の長いコンテンツなどを把握することは、自社サイトにおける強みの把握にもなります。
致命的な間違いを減らす
3C分析により、顧客の真のニーズを把握し、競合を正しく設定、そしてそれに勝ってゆく自社サイトを作っていきます。3つのCのうち、どれか一つでも欠けていたら、致命的なすれ違いが起きかねません。それではここで一つ、可能性の話をしましょう。
士業の場合、「同業者」を競合として設定することがほとんどだと思います。近隣の事務所であったり、同じ業務を扱う事務所であったり、目的に応じて競合を設定しているはずです。しかし、ここ数年で、その常識がゆらぐ可能性が出てきました。インターネットに情報があふれている今、ユーザーは個人であらゆることを調べられます。その結果、作業によっては、士業に依頼することなく自分で解決できることも出てくるでしょう。この場合、「同業者」対策ではなく、「士業に依頼しなくなった見込み客」への対策をしなければなりません。ユーザーが積極的に業者に依頼してくれるよう、戦略の大幅な変更が必要になってくるのです。
時間とともに変わりやすい3C分析、今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。
今回のまとめ
- 「顧客」、「競合」、「自社」の順に分析するとスムーズに分析できる
- 競合分析では、インターネット上の情報も積極的に活用していく
- 自社の分析も厳しい目で行うことが大切
- 致命的な間違いを起こさないよう、常に3C分析を怠らないことが大事