遡れば2012年あたりからずっと言われてきたことですが、今年に入ってWebサイトの「ページ表示速度」への注目度が急速に高まっています。
昨年まで「コンテンツ・イズ・キング」という言葉でコンテンツマーケティングやブログによる集客が喧伝されていましたが、今年に入って急速にページ表示速度を含む「Webサイトパフォーマンス・イズ・キング」という言葉に差し替えられている印象です。
そこで本稿では、Webサイトを運営する士業の皆様に急速に注目を集めている「ページ表示速度」に関して、押さえておかなければならないことをご説明します。
そもそもページ表示速度とは?
「ページ表示速度」はその名の通り、訪問者がWebサイトに訪問してWebページが「開く」までの速度を意味します。もちろん表示速度が速いほうが良く、Googleによると「モバイルユーザーの約半数は3秒以内にページが表示されなければ離脱する」と言われています。
またページ表示速度はSEOへの影響だけでなく、コンバージョン(問い合わせ獲得)にも影響を与え「表示速度が1秒落ちると、問い合わせ獲得率が7%悪化する」という調査報告もあります。
ちなみにユーザーがWebサイトにアクセスして、ページが表示されるまでの目安としては「2秒以内」が理想とされています。
なぜここにきて「ページ表示速度」が注目されるのか?
さてそんな注目を集める「ページ表示速度」ですが、なぜここに来て急速に注目されているのでしょうか?それを端的に説明すると、Googleが提唱する「モバイル・フレンドリー」という概念とそのアルゴリズムのため、です。
Googleはここ数年一貫して「モバイルユーザーにとって利用しやすいWebサイト」を推奨しています。これはスマートフォンの普及により、検索ユーザーのインターネット検索を行うデバイス(端末)が「スマートフォン>PC」に大変動した状況を受けています。
さらに直近では今月6月に入って、Google関係者が「数か月内にモバイルページの表示速度をモバイル検索結果の順位変動の一要因とする」と発言するなど、これまでPCサイトの表示速度さえ速ければ影響を受けなかったモバイル検索検索の順位が、今後はPCでの検索結果とは全く異なるランキングになる可能性を示唆しました。
士業サイトに訪問するユーザーのデバイス
さてここで気になるのは、こうした「モバイル・フレンドリー・アルゴリズム」の変更によって士業の皆様が運営するホームページはどの程度影響を受けるのか、です。
そこで弊社エムハンドのクライアントの中から任意の15士業事務所のアクセス解析を行い、士業ホームページに訪問しているユーザーのデバイスを調査しました。
▼士業サイトへの訪問デバイス調査
(n=61,282セッション)
結果は、「デスクトップPC」からのアクセスが「58.6%」が最も多く、「モバイル」からのアクセスは「36.8%」となり、「モバイルユーザー>PCユーザー」という逆転はまだ起きていない結果となりました。
これは現在のスマホユーザーは「若年層が中心」ということもあり、士業を依頼先として検索するユーザーの年齢層を加味すると、まだ「PCユーザー」が中心であることが理由と考えられます。
しかしモバイルユーザーが4割弱存在することは無視できる数ではありませんし、今後もスマホユーザーはあらゆる年齢層に拡大していくことを考えれば、「モバイルユーザー>PCユーザー」の逆転が起こるのはもはや時間の問題でしょう。
ページ表示速度やモバイルフレンドリーをチェックする方法
自身が運営する士業サイトのページ表示速度や「モバイルフレンドリー」状況を一発で確認するのに、Googleから便利ツールがリリースされています。
【Googleチェックツール】 https://testmysite.thinkwithgoogle.com/
使い方は簡単で上記URLにアクセスし、URL入力欄に自サイトのURLを入れるだけです。上図は試しに弊社エムハンドの公式サイトのURLを入れてみた結果です。
モバイルフレンドリーチェックでは100点でしたが、ページ表示速度では50点台の「poor」評価をいただいてしまいました……。これは修正の余地がありますね。
もちろん全項目を満点にする必要はないですし、またWordpressのプラグインを入れている場合、ほぼ必ず「レンダリングをブロックしているJavascriptを消してください」という修正項目が表示されますので、その全てに対応することはないでしょう。
このツールでは各項目でそうした修正すべきポイントもチェックツールで確認できますので、ぜひ一度ご自身の士業サイトやブログをチェックされてみてください。
ページ表示速度を上げる施策は?
最後にページ表示速度を上げるための方法を簡単にご紹介します。
ページ表示速度が遅くなる理由は、大きくわけると二つの問題に分類できます。つまり「サーバーの問題」と「Webサイト自体の問題」です。
「サーバーに関する問題」はレンタル契約をしている内容や契約先によってさまざまですので、サーバー管理会社もしくはWeb制作を担当した制作会社にお問い合わせください。
一方、「Webサイト自体の問題」ではよくある主要因として下記3つが挙げられます。
- Webサイトに掲載されている画像・動画のデータサイズが大きい
- HTML,CSS,Javascriptなどの各ファイルのデータが大きい
- モバイル表示が最適化されていない(=モバイル対応ページを設置していない)
特に、画像・動画のデータサイズは他のファイルと比べるとかなり大きいので、表示速度に直接的な影響を与えます。もしブログなど更新する際、デジカメなどで撮影した画像を何も処理せず掲載すると、明らかなオーバーサイズになります
(※例えば、iPhoneのカメラで撮影した画像は初期設定だと「3264×2448ピクセル」で保存されますが、一般的なPCサイトでは横幅がせいぜい「1280ピクセル」程度で構築されています≒半分以下のサイズで十分です)。
ただHTMLファイルやCSSファイル、またモバイル対応ページの設置については、どうしても専門的なWeb開発の知識が必要となってきます。弊社エムハンドを含め制作会社にて対応できますので、これから主流となるであろうモバイルユーザーの「取りこぼし」を避けるためにも、「モバイル対応したいんだけど?」とご相談なさってみてはいかがでしょうか?