士業ホームページを制作したものの思っていたよりも流入数が少ないため、リスティング広告を始めてみようとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
近年、機械学習の精度の向上やサポート機能も充実したことで、リスティング広告を運用するハードルは下がっています。
リスティング広告にはいくつかメリットがありますが、そのひとつに「比較的少額で始られる」ことが挙げられます。
しかしながら、少額の予算で効果を発揮できるかといえば必ずしもそうではありません。
本記事では費用の観点から士業におけるリスティング広告の注意点をご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。
なぜ少額で始めることができるのか
まずは、リスティング広告がなぜ少額で始めることができるのか、改めて整理していきます。
主な理由は下記の3点が考えられます。
- 運用ツールの利用料が必要ない
- クリックされるごとに課金される
- クリック単価を自由に設定できる
運用ツールの利用料が必要ない
リスティング広告を始める上では、広告アカウントを作成し、広告文やキーワードなどの設定を行う必要がありますが、広告の運用ツールは基本的に無料で利用できます。
自分で運用を行う場合は、広告費用以外の費用は一切発生しません。
クリックされるごとに課金される
設定にもよりますが、リスティング広告はクリックされる度に課金されます。広告をクリックされたということは、ほぼ必ずホームページに移動したということになります。
例えば紙媒体の広告などでは掲載料として閲覧の有無に関わらず固定の費用が発生しますが、リスティング広告ではそのようなことがありませんので、効率的かつ比較的少額の予算で実施することができるでしょう。
クリック単価を自由に設定できる
クリックされる度に課金される上限額の設定を行うことができますので、極端に言ってしまえば1クリック/1円から始めることができます。
しかしながら、このクリック単価を設定するうえで注意点があります。
士業のリスティング広告における注意点
リスティング広告は基本的に入札制となり、クリック単価の上限額が高い広告が上位に表示されます。そのため、あまりにも低い金額で設定してしまうと広告の掲載順位が低くなる可能性があります。
広告の掲載順位が低ければユーザーの目に触れる機会も少なります。サービスを発注する前提で比較検討を行っているユーザーの比較対象に入らず、お問い合わせを獲得することが困難となるでしょう。
特に競合が多い商材(キーワード)では、上限額が高騰する傾向にあります。
前項で「クリック単価を1クリック/1円から始めることができる」と紹介いたしましたが、これはあくまでも極端な例です。
実際に1円から始めることができるケースは非常に稀でしょう。
では、実際にどのようなキーワードが1クリックあたりどれくらいの価格(平均入札単価)で出稿されているのでしょうか。次項にてご紹介していきます。
士業キーワードの平均入札単価
士業におけるキーワードの平均入札単価を調査するうえでは、下記の条件で行いました。
- 使用するツール:Google広告キーワードプランナー
- エリア:全国
Google広告のキーワードプランナーというツールを用いると、過去の実績に基づいてキーワード別の入札単価の目安を知ることができます。
また、エリアによって入札単価は変動することがありますので、全国として統一しました。
また、平均入札単価を図る上では下記の指標を掲載しております。
- ページ上部に掲載された入札単価(低額帯):過去にページ上部に広告を表示した低い範囲の単価
- ページ上部に掲載された入札単価(高額帯):過去にページ上部に広告を表示した高い範囲の単価
過去の実績においてGoogle広告でページ上部に表示された入札単価の低い金額の目安、高い金額の目安の指標となりますので、平均単価の傾向を知る上では参考になりえるでしょう。
キーワード(関連語句も含む) |
ページ上部に掲載された入札単価(低額帯) |
ページ上部に掲載された入札単価(高額帯) |
---|---|---|
相続 相談 |
274円 |
914円 |
離婚 相談 |
173円 |
839円 |
会社 設立 相談 |
368円 |
1,249円 |
労務 相談 |
80円 |
547円 |
キーワードによってかなり差があり、同じキーワードでも低額帯と高額帯では差が生じています。
取り扱う商材のサービス単価や、繁忙期・閑散期などによる時期の違いやエリアによる競合状況などによっても、ページ上部に掲載するための入札単価は非常に変動します。
例えば「労務 相談」のキーワードを、広告予算10,000円、80円でページ上部に掲載できる条件下で出稿すると、単純な計算上では約125クリック獲得できます。
一方で、547円かけなければページ上部に掲載できない条件下で出稿すると、約18クリックほどしか獲得できません。
比較的安いクリック単価でもページ上位に表示されれば、安い広告予算であっても一定の効果が見込めますが、クリック単価が高騰している場合ではクリックされる機会、見込みが期待できない可能性もあるでしょう。
効果的な運用を行う上では、費用面以外にも気を遣おう
昨今では商材を問わず、クリック単価が全般的に高騰している印象を受けています。
Web上での集客需要が急増し、競合が増加したことも一因となっている可能性もあるでしょう。
リスティング広告を行う上では、単純に低額な予算設定を行っても効果的な運用ができない可能性は大いに考えられます。
事前にクリック単価の傾向を調査した上で、適切な予算設定を行うようにしましょう。