スマートフォンの爆発的な普及が呼び起こした影響は数々ありますが、その中の一つに「htmlメール」があります。しかし日本でのhtmlメールの普及は海外に比べ、後述する理由からやや出遅れ感がありました。現在では大手企業によるhtmlメールによるメルマガ活用も多く実施されるようになり、筆者もhtmlメールを自身のメール受信箱に見つける機会が多くなってきました。
そこでこの記事ではそんな「htmlメール」の知っておくべきことをまとめておきます。ニュースレター/メルマガを運用されている士業、また今後検討される方はぜひご参考下さい。
ニュースレター/メルマガを活用している士業が知っておくべきhtmlメールのこと
【1】そもそもhtmlメールとは?多彩な表現が可能
上図の左は従来の「メール」形式であるプレーンテキストで作られたメールです。一方、右がhtml形式で作られたメルマガですが、ご覧の通りhtmlメ―ルはまるでメール上でwebページを開いているかのような表現が可能です。
というのも当然で、webページも「html」というマークアップ言語で書かれています。そのためhtmlメールでは画像(原理上は動画も)の埋め込みやフォントサイズ/カラーの変更など多彩な表現ができます。
【2】メルマガの最大の利点「マインドシェア」を握りやすい
メルマガの最大の利点といえば、受信者の「マインドシェア」を占めることです。メルマガ1通1通が「問い合わせ」を生めばそれは理想的ですが、現実ではそんなことはありえません。
ですが定期的にメルマガを送ると、顧客のマインドシェアをある程度握ることができます。例えば「就業規則を変えたい」と思ったメルマガ購読者は「社労士と言えば…○○先生だ」と自分のことを「想起」してもらえる可能性が高くなりますよね。これこそがメルマガを運営する最大の利点と言えます。
また日本人が購読しているメルマガの数は「2~6通」あたりが多いそうです。そうしたメルマガ購読者のメール受信箱の中には数多のメルマガが送られていると見て間違いないのですが、従来のプレーンテキスト形式で書かれたメールよりも見た目も華やかなhtmlは読者の印象に残りやすくなりますよね。
文字で埋め尽くされたメールは読む方にも労力を強いますが、画像が数点入っているだけでも読者側の心理的プレッシャーは下がるのではないでしょうか。
【3】htmlメールはウイルスを媒介させる可能性がある
htmlメールの負の側面を上げると、やはり「ウイルス」を媒介する可能性があることです。これが日本でhtmlメールの「危険性」が強調されたところでもあります。
一時期、画像ファイルが表示されるだけでウイルスに感染するケースが頻発しました。このウイルスだと、htmlメールは基本的にメールを開封した時点で画像ファイルが表示されてしまうので、「メールを開くだけでウイルスに感染する」ことになります。
この「メールを開くだけで」という感染しやすさがことさらhtmlの危険性が強調された理由でもあると思いますが、そもそもウイルス対策ソフトをインストールしていない方ってどれくらいいらっしゃるのでしょう…?
もちろん対策ソフトが入っていれば万全というわけではありませんが、ウイルス対策ソフトが入っていないユーザーはhtmlメールを開かずともwebサイトを閲覧するだけでウイルスに感染する可能性があります。htmlメールに関わらず、なんらかの形でウイルス感染する可能性が高いのではないでしょうか。
【4】htmlは受信者の閲覧環境で表示レイアウトが崩れる可能性がある
htmlメールは受信者がメールを閲覧するデバイス(PC、スマホ、ガラケー)や機種によって表示レイアウトが崩れる可能性があります。
ディスプレイサイズがPCとスマホではまったく違いますし、またガラケーの場合だとそもそもhtmlメールを開けない場合もあります。送信するメールアドレスリストにPCメールアドレスとガラケーのキャリアメールなどが混在している場合、htmlメールにとって最も厄介な状態と言えるかもしれません。
ただ最近ではデバイスによって適切な表示に変わるレスポンシブhtmlメールが主流になってきています。htmlメールさえ表示できるデバイスならレイアウトの崩れはさほど神経質にならなくてもよくなるのではないでしょうか。
(html作成サービス【Campaign Monitor】で制作したレスポンス対応のhtmlメール)
【5】知識がなくてもhtmlメールを作れる無料サービスあり
htmlメールを本格的に作りこむにはhtmlの知識は不可欠ですし、web制作会社やメルマガ配信会社の手を借りることにもなるかもしれません。ですがhtmlの知識がなくてもマウス操作をするだけでhtmlメールを作成できる無料ツールがすでにいくつかリリースされています。
試しに筆者も【Campaign Monitor】というメール配信までを行ってくれるhtmlメール無料作成サービス(※一部有料メニューあり)を利用してみました(上図)。弊サイトのニュースレターをhtmlメールで作ってみましたが、基本的にテキストを入れ、画像を挿入するくらいなので30分ほどで完成できました。ブログサービスをご利用になったことがある方はなんら問題なくhtmlメールを作れるでしょう。
他にも【bee free】などの無料サービスがありますが、直感的に操作ができるので英語でも特に使いずらさは感じませんでした。国内の無料作成サービスもそろそろ出始めてもよさそうなのですが…。
【6】htmlの知識があれば無料テンプレートの活用も
htmlの知識があれば、htmlメールのテンプレートを無料で配布しているサービスも活用できます。
【Strike Mail】では、レスポンシブにも対応しているテンプレートが豊富にそろっていました。他にも「html テンプレート」で検索すれば数々の無料テンプレートを利用することができます。
【7】今後htmlメールはスタンダードになる可能性大
本稿の冒頭でも触れたように、日本ではhtmlの「危険性」がことさら強調されることで、普及の出鼻を挫かれることになりました。
ですがhtmlメールによるメルマガ/ニュースレターを導入している企業は増えてきており、従来のプレーンテキストメールに比べ訴求できる内容も豊富なため、今後も導入する企業が多くなるでしょう。
そうしてhtmlメールがスタンダードになった時、従来のプレーンテキスト型メールのニュースレター/メルマガでは同じ受信箱に入ったとき見劣りすることが否めません。
これまでにニュースレター/メルマガを活用されてきた士業の方は導入を、またこれからニュースレター/メルマガの運用をお考えの方も、まるでwebページを受信者のメールボックスにそのまま入れられる好機として、htmlメールを検討されてみてはいかがでしょうか?