総務省発表の資料によると、平成25年時点での日本のインターネット利用者数は9,610万人。実に国民の約8割がインターネットを利用しているという状況になりました。この状況を見ると事業者がWEB集客を考えるのはもはや「当たり前」となり、それは事務所を構える各士業の方々も同様かと思います。
とは言うものの法律事務所に限らず、ホームページ運営は一朝一夕で結果が出るものではなく、試行錯誤をしながら日々格闘を続けられている方も多いでしょう。そんな中気になるのはやはり「あの法律事務所のアクセス状況はどうなっているのか?」というところではないでしょうか?
そこで今回は大手の法律事務所15サイトのアクセス状況を解析してみました。ちなみにこの「大手」の定義は「事務所に所属する弁護士数」を基準に選出しました。以下のデータは全国展開している事務所を含め、主に東京・大阪に本拠地を置く登録弁護士数「50~500人」規模の法律事務所で構成されています。
また各法律事務所のアクセス解析にSimilar Webというwebサービスを利用しています。
₍※Similar Webで計測できる数値は正確な数値ではありません。あくまで参考値としてお考えください₎
大手法律事務所HPのアクセス数を解析
ホームページを開設している法律事務所の方が最も気になるところと言えば「アクセス数」。法律事務所のホームページにどれだけの人がアクセスしているか?はWeb集客の成功度合いを見るもっともシンプルな指標と言えるかもしれません。
さてそこでまずは大手法律事務所の月間アクセス数を調べてみることにしました。結果は下グラフです。
大手15法律事務所の平均月間アクセス数の平均は29,533アクセス。これを1日あたりに換算すると984.4人がそのホームページに訪問していることになります。そのうちの何パーセントが「見込み顧客」となっているかは法律事務所によっても様々でしょうが、仮にその1割を「見込み顧客」として考えるなら1日あたり100人程度が何らかの相談事を抱えて法律事務所のサイトに訪問していることになります。これは法律事務所のWeb集客としては大成功と言えるのではないでしょうか。
あくまで単純計算ですが、中小規模の法律事務所のwebサイトならこの1/10あたりの規模で考え、「月間3,000アクセス、1日あたり100アクセス」で「見込み顧客10人/1日」あたりが最初の目標となりそうです。
大手法律事務所HPのアクセス流入は依然として「検索」が主流
かつてはどのサイトもGoogleやYahooなどの検索エンジンからのアクセス流入がメインでした。それが最近になってソーシャルメディアの発達/普及などに伴い、WEBサイトへのアクセス流入元となる要因は実に多様化しました₍Facebookでの「いいね」やTwitterでの「リツイート」などの「拡散現象」をイメージしてください₎。
しかしながら直近3か月の大手法務事務所15サイトのアクセス流入元で「検索エンジンからの流入率」をグラフ化したのが下図です。
ご覧いただければわかります通り、依然として大手法律事務所のアクセス流入率のメインとなっていたものは「検索エンジンからの流入」でした。つまり大手の法律事務所のアクセスの平均64.8%がyahooやGoogleなどの「検索」からの流入ということになります。やはり法律事務所のホームページ運用には「検索エンジン最適化₍SEO₎」が欠かせないファクターとしてありそうです。
ただしこれには注意点があります。大手法律事務所に検索してくる人はどういうキーワードで検索をしているか?という詳細まで見てみると、そのほとんどがその「法律事務所名」を検索ワードとしていました。つまり大手で有名な法律事務所だから事務所名そのもので検索され、アクセス流入を得るという一面があります。いずれにしても法律事務所名で検索した時に自社のホームページが1位表示されていることは必須条件であることは言うまでもありません。
大手法律事務所の「検索」以外のアクセス流入元
しかしながらこの「検索エンジン最適化₍SEO₎」は相応の専門的な知識が必要となりますし、専門業者に依頼するとキーワードによっては高額なコストが発生することになります。Web集客のノウハウをまだもっていない法律事務所にとって、この「検索エンジン最適化₍SEO₎」はやや参加障壁が高い分野でもあります(いずれ避けて通れなくなるのは間違いないのですが…)。
そこで大手法律事務所のアクセス流入元の「検索」項目以外に目を向けてみると、非常に興味深いアクセス流入元がありましたので、最後にご紹介させていただきます。
「検索」以外のアクセス流入元として注目したのはWeb Similarで調査した「リファラー₍参照元₎」の項目です。これは「あるサイトに貼られたリンクからのアクセス」をイメージしてください。
例えば、ある法律事務所を利用した顧客のひとりが自身のブログに「とっても親切な対応をしてくれてよかった」と法律事務所を紹介するURLリンクを貼ったとします。そのURLリンクから法律事務所にアクセスしてきた訪問者が「リファラー」の項目に示されます。
その「どういうサイトから?」の部分に目を向けてみると、やはり各ブログサービスなどは主要なリファラー元となっていますが、中でも興味深かったものをピックアップしてみます。
専門サイトからのアクセス
「専門サイト」とは「公式ホームページ」とは別の専門領域に特化したwebサイトのことを指します。法律事務所に即して説明すると、「〇〇法律事務所」という公式ホームページとは別に「遺産相続相談に特化したwebサイト」、「離婚相談に特化したwebサイト」、「刑事訴訟相談に特化したwebサイト」を自身で運営することになります。
これは検索からのアクセスをかなり意識した方法なのですが、「専門サイト₍検索ユーザーからアクセスを得るサイト₎」と「公式ホームページ₍依頼を受けるサイト₎」の両方を運営することになりますので、運営側はそれなりの体力が要求されます。しかし本格的にWeb集客を考えていくなら知っておくべき方法の一つです。
すぐれたデザインのwebサイトを紹介するサイトからのアクセス
意外と多かったのが「すぐれたデザインのwebサイト」や「参考にしたいWEBデザイン」を紹介しているサイトからのアクセス流入でした。ある大手法律事務所では、そのデザイン性が注目され、記事やサイトからのアクセス流入が全体のアクセスの12%以上も占めていました。
ホームページは名刺や企業ロゴと同じく「法律事務所の顔」の一面も担っています。デザイン性の高いホームページで顧客を出迎えることは、意外なアクセスを呼び込むことに一躍買ってくれることもあるようです。
企業ホームページからのアクセス
さまざまな「企業ホームページ」からのアクセスはおそらくその法律事務所の顧問先企業のホームページからのアクセス流入だと思われます。企業のホームページに顧問弁護士の紹介コーナーなどがあれば、そこからのアクセス流入が見込めることになります。
もし顧問先の企業から「顧問弁護士としてホームページに掲載していいか?」を問われたら、前向きに検討してみるのもよさそうです。
まとめ
- 大手法律事務所ホームページの月間平均訪問者数は3万アクセス₍参考値₎
- その主要なアクセス元はGoogleやYahooなどの「検索」から
- 検索以外にもサイト運営を続けていくことでさまざまなアクセス流入元を得られる