私は司法書士事務所を開設して4年目になります。2015年の春に訳あって実家の愛知県に移住し、9月から新天地で司法書士業を営んでおります。実家とはいえ、もう約20年振りにUターンしてきたため「コネなしカネなし」の状態で開業したようなものなので、司法書士の営業には頭を悩ましておりますが、2年ほど前からホームページを立ち上げ、ありがたい事にそれを見たお客様から少しずつ問合せを頂いており集客できてます。
その中で感じることは、40代50代などあまり若くない中高年のお客様でもインターネットを使って、希望にかなう士業がいないか検索される方が増えてきている点です。これからインターネットを活用する世代がどんどん増えてくるなか、特に新たに士業で独立される方にとっては、WEBを使った集客は重要になってくると思われます。今日は、これまでの私のWEB集客の経験を解説したいと思います。
司法書士ブログ・ホームページを作成した経緯
私は司法書士事務所を開設してしばらくしてから、ホームページとブログを1つずつ立ち上げました。特に深い考えがあったわけではなく、やはり司法書士の営業ツールとしてホームページが上手く利用できれば、少ないコストで大きなパフォーマンスを得られる可能性がある点を魅力に感じました。また地域の不動産屋さんと繋がりがあるわけではなかったため、地元の住民や企業に司法書士事務所の存在を知ってもらえませんでした。せめて事務所を開設した地域住民には知ってもらえるようにと願って立ち上げたのがきっかけでした。
また、ブログは、日々の業務と人となりを知ってもらうためにと思って開設しました。
どうやって司法書士事務所のホームページを作成するか
▲いとう司法書士事務所HP:http://www.itou-legal.com/
さて、問題はホームページをどうやって作成するかです。世の中にはホームページを作成するツールがたくさんあります。私の中では、
- WEB制作会社に作成をお願いする方法
- WordPressを使って自分で作成する方法
- Google Sites、WIX、Jimdoなど使ってWEB上でホームページを作成(ホスティングサービスを利用)する方法
で考えていました。
しかし、①にはやはりお金が必要で、②には専門知識が必要となります。資金なく開業したため①の選択を取るにはリスクが伴います。また②については「WordPressを使えば簡単にホームページを作成できるし、SEO対策として効果が高い」という触れ込みがあふれていますが、私自身が身を以てWordPressを使って試したところ、やはりホームページを作成・更新するのに大幅な時間を要するため、何の知識もない人が、商業用にホームページを作成するのは困難と感じました。
ということで、消極的な理由でしたが、②のホスティングサービスを利用して、「お金をかけないWEB集客」を目標に、自分ができる範囲内でホームページを作成する方法でサイトを立ち上げました。WordPressではないので、SEOの観点では良くないかもしれませんが、ホスティングサービスを利用したホームページは直感的にページを作成できるため、日々の更新は手軽に行えるのが利点です。
作成するブログ記事・内容で迷走……集客につながらない理由とは?
ホームページを立ち上げ定期的に記事を増やし続けて行くと、立ち上げから6ヶ月程で検索流入はかなり増えていきました。しかし、思ったほど問合せはあまり増えませんでした。
アクセスを解析して検索キーワードを調べてみると何と専門用語ばかり。これは推察すると、「主に同業者が調べに来て、一般の方はあまり検索して見に来てくれていない」結果と思われます。あまりに専門的でマニアックな内容を書いていたのが原因でした。サイトを立ち上げたばかりで誰も検索してくれないと寂しいため、私はどこにも触れられていないオリジナリティあふれる記事を更新し続けたのです。その結果、検索流入は増えましたが、同業者向けの記事になっており、一般の方が望む記事にはなっていなかったわけです。
そこで方針転換を図り、ホームページは専門用語を排除して出来るだけ分かりやすい内容を心がけました。それと同時に、あまりに自分のホームページの直帰率が高かったため、ホームページの導線を見直していきました。その結果、それ以降は徐々にではありますが、一般の方からの問合せが増えくるようになってきました。ただ、それでも一般の方からの検索数は100件中5件あるかないかといった感じです。
ブログ『愛知県津島市の司法書士いとやんの徒然草』:http://d.hatena.ne.jp/itousihousyoshi/
ブログは当初、司法書士に関する記事を作成しておりましたが、やはりネタが尽きてきます。今日の出来事を記事にすると守秘義務に抵触するおそれもあり、おいそれと記事にすることはできません。しかし更新頻度が落ちると、ブログを見に来てくれる人はちっとも増えません。結局ブログの方針も定まらないまま、私生活の事も書くようになり、私の書くブログは、統一感のない雑多なブログになってしまいました。
司法書士のホームページ・ブログを作成した結果は?
ホームページは、現在100ページ超になっております。地域の住民からの問い合わせ月に数件は来るようになり、「地域住民には知ってもらえるように」と当初の目的は達しつつあります。
現在は1週間に1度ほど更新する程度となっておりますが、あまり大きく改修してしまうと、検索順位にも影響を及ぼすようなので検索ワードを見て「どのような内容に関心が高いか」を予測し、それに基づいて記事を1ページほど追加したり、既にある記事を修正するなどしております。ある程度ホームページが成果を出して来ているため、少ないメンテナンスで定期的に更新をして検索順位を落とさなければ、パフォーマンスとしては十分です。
一方でブログについては…まったく集客につながっておりません(笑)。同業者から、「ブログ拝見しました」と言われるだけの司法書士あるあるネタを発表する場所と化しており、誰に向けたブログなのか、作っている私が迷走しております。
最後に
ホームページ・ブログを立ち上げて3年目に入ったところになりますが、結論としましては、お金をかけないWEBの集客法として、自分で構築してそこから成果を出すのに、半年から1年くらい時間がかかると思われます。この点今となっては、お金をかけてWEB制作会社にお願いしても良かったかなぁと思うところではあります。ただ自分で作成したことによって苦労は多かったですが、WEBの集客は一朝一夕ではできない事が身をもって体験することができた事は良かったです。
今後はこれまでどおり自分でサイトを構築していくか、新しくWEB制作会社に依頼して制作するかはまだ分かりませんが、どちらにしても自分が書きたい記事ではなく「一般市民に向けた記事」で「日々の継続的な更新」が重要であることは確かなことと思われます。
著者紹介
■伊藤和雄司法書士
平成18年に司法書士に合格し、債務整理、不動産登記、裁判業務中心として事務所で経験を積むかたわら演劇にも従事。平成23年に開業を果たし、平成27年に現在の愛知県津島市に移転。
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まとめ
今回寄稿いただいた伊藤和雄司法書士のように、ホームページから集客を獲得するにはSEOの知識やアクセス解析に基づいた「細かいリニューアル」を継続的に施策していくことが非常に大切です。もちろん司法書士の実務をしながら、WEBでの集客を図るのは大変なことです。でも集客は事業を続ける上で「絶対」にしなければならないこと。実務でどうしても手が回らない方は制作会社などに運用面の相談してみるのもいいでしょう。
またブログの運営に関しても、書けども書けどもなかなか集客につながらず苦戦されている方も多いかと思います。しかしブログの運営において考えなければならないのは「このブログは誰に、どのようにして、届いているのか?」という視点です。もちろんSEOも「どのようにして」の一つの方法ではありますが、SNSやメルマガなどもブログ記事を「届ける」経路の一つとなります。
いずれにしても司法書士のWEB集客は「継続的」な取り組みが必要です。短期的な戦略だけでなく中長期の戦略を見据えて、アクセス解析ツールとにらめっこをしていくことも大事ではないでしょうか。
(※本稿は2017年6月に加筆・修正しています)