早いもので、2015年も師走に突入しました。年賀状作成に忘年会、クリスマス、仕事納め、冬休み、大掃除と行事が目白押しですよね。1年間突っ走って来られた士業の先生方は年末年始はゆっくりしていただきたいところですが、今年不完全燃焼気味だった先生方は2016年良いスタートが切れるよう、年末年始は士業ブログの開設や見直しを検討されてみてはいかがでしょうか?
そこでまずは、元士業の筆者がブログ運営上でお手本にしたい士業ブログを集めてみました。
元士業視線で「いいね!」と思えたブログ3選
【1】Kimutaxカフェ(きむカフェ)
東京都の税理士、木村聡子(きむら あきらこ)先生のブログです。2005年開設で旧名は「税金まにあ」だったそうです。星の数で記事内容の難易度(初心者~専門家向け)を5段階で示すなど工夫と読み手への配慮を所々に感じることができるデザイン設計となっています。
メディアへの寄稿や連載などの実績もあり、アイキャッチにタイトルと非常にセンスがあり洗練されたものであることにも納得です。今話題のマイナンバーのこともわかりやすくまとめておられます。
【2】行政書士ってナニ?
http://gyouseisyoshi-toha.com/
沖縄県の行政書士、真栄里孝也先生のブログです。主に行政書士業務に特化したブログで、今バズっている多くの記事に見られる『会話のやりとり』でストーリーが展開されています。
真栄里先生と架空のアシスタントRIEさんとの日常的やりとりですんなりと入り込め、理解しやすい内容となっています。NPO法人のことを「ンポ」と表現するあたりも、同業者ならわかる部分であり、共感を得られるところではないでしょうか?
【3】弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記
http://blog.goo.ne.jp/law-yuhara
重複しますが、大阪府の弁護士、湯原伸一先生のブログです。1記事あたり1分弱で読めます。個人的には士業の先生が多忙な中、日常的なことを定期的にお伝えする内容のものであれば、このくらいシンプルなほうが継続しやすく読み手にとっても気軽に読めてリピートしやすいのではないかと思います。その代わり、別途内容の濃い公式ホームページとブログを設置されています。
これらのブログの各特徴から、士業ブログ見直しの3つのポイントを考えてみたいと思います。
士業ブログ、3つの見直しポイント
「読み手が誰になのか?」を明確に分析してみる【見直しポイント1】
士業ブログの主な読み手として想定できるのは、「親しい間柄の方、その士業に業務を依頼してみようと考えている方、資格勉強中の方、そして同業者」だといえます。
これまで自分自身が書いたブログを数記事ピックアップして読み返し、誰に読んでほしかった記事だったのかをおさらいしてみます。例えば、業務を依頼してみようと考えている読者になりきって読んでみて、その記事を読んで「問い合わせをしてみよう」と思えたのであれば、今までのスタンスを継続して大丈夫です。
しかし「ちょっと違うな」と思われたのであれば読み手の立場になった記事をリライトしてみるのも良いと思います。年末年始、自由時間があればその作業に充ててみられてはいかがでしょう?
ブログサイトには、記事毎に想定する読み手が変わる「総合型」と読み手を絞り込んだ「特化型」があります。一元管理がしやすいのは総合型ですが、記事はカテゴリやタグで分類しておくなど読み手への配慮は欠かせません。特化型はネタが自由に選定できませんが、複数のブログを立ち上げてその想定する読み手に合わせてネタを振り分けることで解決ができます。その分、管理は大変になります。
ブログの位置づけを再考してみる【見直しポイント2】
公式サイトあってのブログなのか、公式サイトに値するメインブログなのかによってその内容は違ってきます。前者なら公式サイトへの導線として内容に含みを持たせるなどの工夫が必要になり、後者ならコンテンツの更新と充実が必須となります。
今、公式サイトをお持ちの方で検索上位に表示されるわけでもなく、ネットからの反響を実感できないのであれば、ブログや専門サイトを新しく立ち上げる、公式サイトへの導線を増やすなど、ネット上のサイトデザイン設計を考え直してみられても良いと思います。
実際に営業所や支店を設置すると多額の費用がかかりますが、ネット上のサイトやブログの設置費用はそんなにかかりませんので公式ホームページへの導線はいくつあっても良いのです。
ブログは読み手のためにある【見直しポイント3】
ブログは、自分のキャラクターや持ち合わせた知識やスキルをわかってもらう、自分の事務所や法人の宣伝をする、依頼獲得や集客の手段ではあるのですが、読み手にとって有益な内容・役に立つ記事でなければ、そのブログが注目され記事がバズることもないでしょう。
そこで、3つ目の見直しポイントとして、読み手が欲する記事か否かの検討が重要になります。「読み手が今、どのような記事を必要としているのか?」これを考えるのは難易度が高いです。
考えるのは難しいのですが実を言うと検証は楽にできます。その方法は「Googleキーワードプランナー」を使うことです。このサービスでは、あるキーワードと一緒に検索されている言葉やそのボリュームなどがわかるのです。例えば「会社設立」というテーマで記事を書こうと決めて検索すると「費用」「合同会社」「手続き」などが関連語として出てきます。
これらは紛れもなく読み手の関心事でありニーズですので、記事中で言及したり、キーワードを意識して文章を作成したりするとアクセスが増える可能性があります。
また、ブログは管理者の所有ではありますが、読み手の共感や支持を得られてこそブログが活用できているといえます。ブログを読んで共感や支持の気持ちが芽生えると、この先生に一度会って話を聞いてみたい、業務をお願いしたいと思うようになります。有益な内容・役に立つ記事は信用を生んでくれます。
当たり前のことなのですが、有害な内容・不快な記事は、信用を落とします。記憶に新しいところでは、某社労士の先生が書いた「社員をうつ病に罹患させる方法」という記事が炎上してブログは閲覧できない状態に。2ちゃんねるやまとめサイト、メディアのニュース記事で取り上げられる騒ぎとなりました。
もし、来年から士業ブログをリニューアルしてみよう、バズる記事を作成してみたいと思われている先生方は、本記事でご紹介したブログやキーワードプランナーを参考に、読み手のことを考えて記事を作成してみると2016年の業務展開や生活がより楽しく充実したものになり、やがては収益として反映されるようになるでしょう。
著者紹介
ITC代表 石盛丈博氏
(2002年~2010年まで行政書士登録)
まとめ
- 見直しポイントは記事の読み手とブログの位置づけ
- 公式サイトへの導線はたくさんあって良い
- 有益な内容・役に立つ記事は士業業務に対する信用を生んでくれる