Google Analyticsをはじめとする、アクセス解析ソフトを使ったアクセス解析は広く浸透してきました。最近では、ユーザーの細かい動きを視覚的に表現する、「ヒートマップ対応」の解析ツールまで出てきて、日々アクセス解析は進化しています。
そのような状況でありながら、取得したデータを活用し、上手くマーケティング戦略を改善している例はまだまだ少ないようです。今回は、アクセス解析で得られたデータを有効に活用し、WEBマーケティングをより効果的なものにしていくための「目標設定」についてお話しします。この記事でのキーとなる言葉はKGIとKPIです。どちらも踏み込んだアクセス解析を進めるための重要な指標です。
KGI = 目標を定量的に表したもの
KPI = 目標までの達成度合いを定量的に表したもの
マーケティング媒体としてのホームページ
ホームページは当初、クリエィテイブ分野の広告媒体のひとつとして捉えられていましたが、たちまち、そのマーケティング媒体としての価値が認められるようになりました。その理由としては、日常的なアクセス解析を可能にした点が大きかったと言えます。ユーザーの訪問状況や、閲覧ページ数、ひいてはページ間の移動の様子まで解析できるので、今までは定量化・可視化の難しかった効果測定が、日常的に行えるようになったのです。
目標設定が不十分な現状
2005年にGoogleが無料のアクセス解析ツールとして、Google Analyticsのサービスを開始したことで、アクセス解析はいっそう話題になり、それまで消極的だった企業も次々と参入するようになりました。それから歳月が経ち、アクセス解析に関する基礎的な知識や理解は確実に広まっています。近年よく利用されている解析ツールはユーザビリティにも優れているものが多く、操作しづらい、使いづらい、といった声はあまり見られません。ところが、解析データは取得されているものの、それをどのように有効利用していくかという段階にまでは進めていないのが現状のようです。なぜ上手く活用できている人が少ないのでしょうか?
その一番の問題は、WEBサイトの「目標設定」が十分になされていないことです。ECサイト(インターネット上の通販サイト)やO2Oサイト(インターネットから実店舗への誘導を狙うサイト)というような、目標が比較的明確な場合には、「目標設定」の問題ではなく、目標達成までのプロセスが詳細にイメージできていないことが問題だと言えるでしょう。
まずはKGIを設定し、目標達成までのシナリオを描く
目標設定を行う際は、まず、「KGI」を定めましょう。KGIは、Key Goal Indicatorの略で、日本語では重要目標達成指標、つまりは「目標を具体的な数値として表したもの」を意味します。抽象的な目標ではなく、具体的な数値で目標を定めます。
ECサイトであれば、KGIは目標販売数や目標売上金額。O2Oサイトであれば、実店舗への送客数となるでしょう。立場によってKGIはさまざまです。直接的に売上や来店促進に関わるWEBサイトを運営する場合は、KGIの設定は比較的容易です。
KPIは中間チェックの指標と考える
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と訳されます。「KGIまでのプロセスがどこまで進んでいるかを表す指標」であり、マーケティングの世界ではKGIとKPIはセットで取り上げられることが多いのです。
例えば、ある集客サイトが、KGIを「月間30件の資料請求」と定めたとしましょう。この場合、KPIは過去のデータを参考にして設定するのが簡単です。過去のデータから、1件の資料請求を獲得するために200件のアクセスが必要だったとすると、CVR(コンバージョンレート・獲得率)は0.50%になります。このCVRを踏まえると、KGIを達成するためには月間6,000件のアクセスが必要になると算出されます。そのまま、「月間6,000件のアクセス」をKPIとして設定することもできますが、ほかにも、「CVRを0.50%から1.00%に上げる」という施策を取る方法も考えられます。KPIとなる項目は必ずしも一つではないので、状況に応じて最適なKPIを選択しましょう。
また、KGIを定める際には、達成期間も明確にしなければなりません。それによって、KPIを確認する時期が毎日、毎週、毎月といった具合に変わってきます。
以上、基本的な例をとってKGIとKPIの設定方法をご紹介しました。KPIは、何が成功していて、何が失敗しているのかを、具体的な数値で確認していくために設定します。今回は、WEB集客に限定したお話をしましたが、KGIは本来、ビジネス全体の中で設定することで力を発揮します。是非様々な場面で利用してみてください。
今回のまとめ
- アクセス解析結果を十分活用しきれていないことが多い
- データの活用が進まない主な原因は、「目標設定」が不十分なため
- KGIで目標設定を行い、KPIで目標までのプロセスを考えていく