2015年も9月に入り、今年も残すところあと4か月を切りました。夏も過ぎ日々秋らしさが増していくこの頃ですが、今回は2015年夏の士業界を「キーワード」で振り返ってみましょう。
この夏に士業界隈でホットだったキーワードの選出のために、各士業団体および公官庁が発行したプレスリリースおよびトピックスのタイトルと、任意の士業従事者たちによるTwitter上のつぶやきを600ほど収集しました。
こうして集めたデータから調査ツールを用いて頻出する名詞を抽出し、その中から士業ならではの時事性の高いキーワードをピックアップしました。以下、2015年夏に士業従事者の間で話題となったキーワードを見ていきましょう。
【キーワード1】「安保法案改正」および「集団自衛権」
こちらのキーワードは夏を過ぎた今もなお報道番組で毎日のようにニュースで耳にするホットな話題ですね。安保関連法案改正のために審査会に召集された憲法学者3名全員が「憲法違反」と判じたのにも関わらず、安倍政権が改正を進めている状況に主に「弁護士」から反発する声がTwitter上で多く聞かれました。
またユーザーの検索ボリューム(ユーザーが検索した回数などから出した指標)が見れるGoogleトレンドによると、「安保法案」と「集団自衛権」のキーワードは直近90日間では7月15日の衆議院採択の日に大きなピークをつけていたようです。
もちろんこれらの「キーワード」を話題にしたのは弁護士だけではなく世間でも大きく注目されていましたが、弁護士を中心とした士業界隈でもホットなキーワードとなったようです。
【キーワード2】「著作権」および「TPP」
データ収集のために「Twitter」というソーシャルメディアを用いたことも影響していそうですが、主にTPPに絡んだ「著作権の非親告罪化」に関する言及が多く見られました。
このキーワード反応していたのも主に「弁護士」が多かった印象です。同人サークルによる二次創作活動の是非に関する言及が多く見られました。
先ほどと同様にGoogleトレンドで振り返ってみると、「著作権」に関する世間の関心も夏の間「50~100」の数値の間で推移していたようです。
(※グラフの最後で数値が急落していますが、これは「現在集計中」のためです)
【キーワード3】「マイナンバー制度」
この「マイナンバー制度」というキーワードへの反応は、税理士/行政書士/社労士など複数の士業にまたがる形が反応が見られました。
いよいよ来月から「個人番号の通知カード交付」が始まることもあって、関係する各士業従事者にとっては、この秋も引き続き注目のキーワードとなりそうです。
実際に世間の関心度を示すGoogleトレンドにおいても、8月終盤から検索ボリュームが上がっていることが確認できます。「マイナンバー制度」というキーワードに関しては、夏のキーワードというよりも今秋~冬にピークを迎えるキーワードとなりそうです。
【キーワード4】「租税特別措置法」
「租税特別措置法」に関連するキーワードとして「所得税」「酒税」のキーワードも散見されました。話題にしていたのは「税理士」の方がほとんどでした。改正案を麻生財務相が「ゼロベースで見直す」と発言したことがきっかけではないかと思われます。
先ほどの「マイナンバー制度」ほどではなさそうですが、法人税率引き下げの文脈でセットになることが多いのでしょう。
世間の関心を示す指標となるGoogleトレンドによると、数値が「0-100」と安定していませんのでどこかの報道機関から関連ニュースが出るとユーザーによって検索される、という感じではないでしょうか?
【キーワード5】「クラウド会計」
今夏というよりも今年に入って、会計分野で急速にクラウド・コンピューティングを用いたサービス提供者が一気に拡充している印象があります。先述の「マイナンバー制度」とも関連しながら、企業の経理業務を大きく変える可能性のあるサービスですね。
税理士の会計業務と領域がかぶってしまうので、こうしたクラウド会計サービスに対しては賛否両論の声が確認されました。ですがこのクラウド化は世界的な大きなトレンドであることを考えると、企業会計の「自計化」はもはや既定路線と言ってしまっていいのではないでしょうか。
Googleトレンドによると、世間的にもこの「クラウド会計」というキーワードへの関心の高さがうかがえるようです。今夏「65~100」という高水準で推移していた模様でした。
まとめ
こうして振り返ると、やはり士業従事者にとってのホットなキーワードには「法改正」というテーマが大きなウェイトを占めているようです。また個人的に、今夏朝日テレビで放送されていたドラマ『エイジハラスメント』はキーワードとして入っていてもよさそうに感じますが、今回の調査では見当たりませんでした。
2015年の秋にはどのキーワードがホットであり続け、またどんな新しいキーワードが注目されていくのか楽しみです!
今回の調査の留意点
今回の調査ではTwitterでのつぶやきをメインの収集対象としました。ですが士業の各業種によってツイート収集量の偏りがあります。
例えば「弁護士」の方には時事性のあるツイートが多く含まれている傾向がありましたが、その他の士業では時事性のあるツイートが少ない傾向にありました。そのためニュースに関するツイートの多い「弁護士」の方からの声は豊富に収集できていますが、税理士、行政書士、社労士のツイートについては十分な収集量が確保できていない部分があります。
また今回の調査で利用させていただきたツールは以下の二つです。
■Googleトレンド:https://www.google.co.jp/trends/
■【User Localテキストマイニングツール】:http://textmining.userlocal.jp/
また収集したアカウントは2015年7月1日~8月31日の間にツイートされた任意複数のアカウントから収集しています。