web広告をお考えの士業の方にもっとも導入しやすく、またオススメできるがPPC(リスティング広告)です。PPCは「Pay Per Click」の略称ですが、ここではGoogleアドワーズやyahoo!リスティング広告などの検索エンジンに表示される広告をイメージしてください。これまでにすでにPPCの導入を実施/検討されている士業の方も少なくないのではないでしょうか?
こうしたリスティング広告は、クリックごとに広告費用を支払う料金体系から広告費用をかなり低額(月数万円でも運用可能)から始められることと、レポートを随時チェックすることで広告効果を数字として明確に把握できることが大きな特徴でしょう。
こうしたPPCの普及で士業サイトのweb広告運用は、従来のアナログ広告よりもはるかに戦略的かつロジカルに展開できることになりました。こうしたリスティング広告運用のノウハウは他のサイトでも多く解説されていますのでそちらに譲ることにして、ここでは各士業はどの程度リスティング広告に参入しているかを「Googleキーワードプランナー」を用いて調査してみましょう。
(以下の白地図はStart Pointから画像引用)
【弁護士】のリスティング広告競合状況
まず「各都道府県名+弁護士」での競合性を調べたところ、上図の結果になりました。競合性は「0.52~0.99」(最大値1に近いほど競合が多い)の範囲で、他士業に比べても全体的に高い結果となりました。
(※今回の調査では、各士業だけの競合状況を知りたいので「キーワードプランナー」上に表示される競合性の「高/中/低」ではなく、競合性を表す各数値を三分し「競合性低い」、「平均的」、「競合性高い」に分類し直しています)
弁護士によるリスティング広告運用でもっとも競合性が高かったのは「奈良県、徳島県、茨城県、岡山県、佐賀県」の順でした。一方競合性が低かったのは「宮崎県、栃木県、京都府、福島県、長崎県」の順で、これからリスティング広告に新規参入する弁護士にとっては、比較的入りやすい状況にあるようです。
全体的に見ると、関東圏と中部地方あたりは競合性の高さが見られます。一方「鹿児島、佐賀」を除いた九州地方は比較的ブルーオーシャンの傾向があり、特に「宮崎県」に関しては平均クリック単価(1クリックあたりに発生する広告料の参考値)が「89円」と最も安いクリック単価で新規参入できるようです。
【税理士】のリスティング広告競合状況
続いて「都道府県名+税理士」で検索したときのリスティング広告競合状況です。競合性の数値は「0.44~1」の範囲で、地図上にオレンジで色づけした「0.85」以上の都道府県が27(57%)にも上りました。全体の半数以上の都道府県が「競合性高い」に入っていますので、税理士によるリスティング広告が活発に行われている状況が見てとれます。
またもっとも税理士によりリスティング広告の競合性が高かったのは「大阪府、広島県、三重県、大分県、福岡県」の順で、一方競合性が低かったのは「山口県、宮城県、奈良県、沖縄県、茨城県」の順でした。
確かに税理士の数は各士業の中でももっとも人数が多い士業ですので自然と競合性も高くなるのでしょうが、税理士のリスティング広告で集客するためにはしっかりした運用プランが必要となりそうです。
【行政書士】のリスティング広告競合状況
「都道府県名+行政書士」のリスティング広告競合状況は、競合性が「0.08~0.57」とこれまで見てきた士業に比べやや穏やかな傾向があるようです。競合性が「0.25未満」の都道府県が19(45%)となり、行政書士のリスティング広告運用はさほど活発ではない状況が見られるようです。
競合性が高かったのは「大阪府、徳島県、高知県、愛媛県、福岡県」の順、低かったのは「愛知県、秋田県、佐賀県、三重県、鳥取県」の順でした。
ややレッドオーシャン化が進んでいるのは「香川県」を除く四国地方ですが、おおむね東日本は新規参入しやすい環境にあるようです。また「秋田県、岡山県、長崎県、広島県」では平均クリック単価が「10円未満」とかなり安価でリスティング広告にチャレンジできる状況もあるようです。
【社労士】のリスティング広告競合状況
「都道府県身名+社労士」のリスティング広告競合状況では、一部不明(白)な県があるものの競合性が「0.03~0.68」という範囲であること、また判明しているもののうちで「0.5未満」の都道府県が35(74%)と、行政書士と同じく穏やかな傾向にあるようです。
不明な都道府県を除き、社労士によるリスティング広告運用の競合性の高かった都道府県は「沖縄県、富山県、高知県、宮城県、山梨県」の順、競合性の低かった都道府県は「宮崎県、広島県、岐阜県、静岡県、兵庫県」の順でした。
平均クリック単価に関してはさらに不明な都道府県が多かったのですが、もっとも競合性の高かった「沖縄県」でも「250円」でしたので、参入障壁は低いと見ていいのではないでしょうか。
【司法書士】のリスティング広告競合状況
最後に「都道府県名+司法書士」のリスティング広告競合状況です。競合性を表す数値は「0.13~0.81」の範囲で、都道府県によってかなりバラつきがある状況が見てとれます。
中でも司法書士によるリスティング広告運用の競合性が高かったのは「大分県、群馬県、千葉県、埼玉県、奈良県」の順。一方で競合性が低かったのは「高知県、青森県、岩手県、鳥取県、岐阜県」の順でした。
分布のバランスも「競合性高い 21%」、「平均的 39%」「競合性低い 40%」で、リスティング広告の競合状況は「事業を運営する都道府県による」という傾向がもっとも強い結果となりました。
今回の調査の注意点
今回の調査方法は「Googleキーワードプランナー」を用い、「全国の都道府県名+各士業名」で検索した際生じる「競合性」に注目しました。ただし、たとえば「東京都 税理士」のように検索ワードとしてありえなくはないのですが、「品川区 税理士」や「八王子 税理士」などよりミクロな地名検索のほうが一般的な場合もあります。
また「Googleキーワードプランナー」の結果は設定する期間によって変動しますし、特に「平均クリック単価」に関しては正確な数値ではなく「参考値」と考えておくべきでしょう。これらの点に関してはご留意ください。
リスティング広告を運用するということ
リスティング広告を士業事務所が運用するのにはいくつかメリットがあります。例えば、昨今では士業事務所のwebサイトは「あって当たり前」の状況になりつつあり、開設するだけではwebからの集客になかなか結びつかない状況があります。
もちろんwebサイトをしっかり運用すれば集客ツールとして大いに事業に貢献してくれるのですが、それにはやはり時間的/労力的なコストが不可欠です。その点リスティング広告は、出稿した次の日から成果(問い合わせ)が期待できるわけで、これは大きなメリットではないでしょうか。もちろん大きな成果を得るためには十分な施策が必要になりますが、リスティング広告を運用しながら、web集客への最適化を随時行っていくことも可能です(リスティング広告向けのランディングページを設置するなど)。
また仮にリスティング広告の競合が多い地域でも、裏を返せば「広告費用を投資する価値がある」と見ている同業者が多数存在するとも考えられそうです。
リスティング広告に限らず効果測定がはっきり見える広告を運用することは、競合の少ない地域では事業を発展させる「チャンス」を、競合の多い地域では「流動性の厚い市場」を見せてくれるのが一番大きなリターンなのかもしれません。