「ES」と聞いて、皆さんは何を指しているかピンと来ますでしょうか?
人材マネジメント用語で「Employee Satisfaction(従業員の満足度)」を指します。
まだ広く浸透していない言葉ではありますが、注目されている言葉の一つであり、企業のESに対する取り組みが近年活発になってきています。
さて、今回はESコンサルタント社労士として活躍されているLeadClover社労士事務所代表の清永仁社労士(以下、清永社労士)にインタビューをさせていただきました。
飲食店・WEB広告系のベンチャー企業を経験してESコンサルタント社労士になられた清永社労士。一般企業での経験はどの様に業務に活きているのか、またESコンサルタントとしてどのような業務を行うのかについて語っていただきました。
■一般企業での経験はどう活きているのか
清永様は飲食店に入社された後にWEB広告系のベンチャー企業を経て社労士になったという点で、社労士としてはユニークな経歴をお持ちかと思います。
飲食店・WEB広告系のベンチャー企業での経験が、社労士としての仕事に活きていると感じる点はありますでしょうか。
――はい。感じる点はたくさんあります。
社労士として、一見あまり必要のない経歴だとは思いますが、プロになるスポーツ選手は小さいころに違うスポーツをやっていた人が多いと言われるように、社労士とはあまり関係のない仕事をやってきたことは、現在仕事をする上で大いに役に立っています。
具体的には、飲食店時代には現場の社員さんを束ねる立場として「社員さんとどう接すれば率先して働いてくれるのか?」「どうすればモチベーションを高めることができるのか?」などについて、実践を通して学ぶことができました。
特に飲食店では現場が目まぐるしく変わるため、社員さん同士の連携が重要になってきます。なので社員さんのモチベーションが高く率先して動いてくれることは、連携力を高め、その先にある売上に繋げるためにも非常に重要な要素になります。
その時の経験はクライアントにコンサルティングをさせていただく際、実践を知る社労士として、多くの方に好評をいただいております。
また、WEB広告系のベンチャー企業の経験としては、「経営」と「集客」の面で活きていると感じます。まず経営に関してですが、社員3人ほどのベンチャー企業に勤めていたことで経営者のすぐ隣で経営のやり方を見ることができ、また自分自身も経営に携われたことが現在仕事をする上で大きな力となっています。
次の集客に関しましては、WEB広告の会社に勤めていたので、ネットを使った新規クライアントの獲得について活きていると感じます。
■ESコンサルタント業務や独立した際のエピソード
清永様はESコンサルタント社労士として活躍されていますが、ESコンサルタントとはどのような業務でしょうか。
――ESコンサルタントの業務としましては、一言で言うと「社員さんの満足度を高める」業務です。社員さんの満足度を高めることで、クライアントのお客様の満足度を上げ、売上向上に繋げるという流れになります。
やはり売上を上げるにはお客様からの支持が大前提ですが、そのお客様の満足度を高める鍵は、一番お客様と接する機会のある社員さんが握っています。
なので、その社員さんの満足度を高めるお手伝い、具体的にはES診断を行って社員さんの満足度を妨げる原因がどこにあるのかを発見し、それを改善するコンサルティングをしています。
社労士業務とどのようなシナジー効果がありますでしょうか。
――社労士の業務のシナジー効果として、やはり社労士は人に関することで相談されることが多いので、その際に社員さんの満足度を上げる話も同時にすることができることです。
ESコンサルタントだとは知らずに相談してくる方も多いので「ESについての話も聞けて良かった」と、クライアントの満足度を上げる効果があります。
また、普通の社労士とは違うとクライアントから思っていただけるので、他の社労士さんと差別化できていることも大きな効果です。
ESコンサルタント社労使として独立する際に、どのような「良かったこと」と「苦悩」がありましたでしょうか。清永様の経験からお話いただけますと幸いです。
――よかったことは、社労士の業務として受注しスポット契約として終わるはずだった仕事が、その後ESコンサルティングの仕事へと繋がることです。
顧問契約を結ぶ以外は、どうしてもスポット的な仕事が多いので収入がなかなか安定しないのですが、ESコンサルタントとしての仕事に繋がることがあるので非常に助かりました。
苦悩は、ESという言葉の認知度がまだまだ低いため、どんな仕事をするコンサルタントなのか、またその重要性を知っていただくために苦労したことです。
例えば、営業の際「君は何をしてくれるの?」と聞かれたり、「どんな効果があるか分からない」と言われ門前払いされたり…当時はどのように伝えようかと非常に悩みました。
■ソーシャルメディア活用、またESの測定方法に関して
清永様はFacebook、Youtubeなどのソーシャルメディアを積極的に活用されていますが、活用の際に気をつけているポイント、活用前と比べたときの変化があればお教えください。
――気をつけているポイントとして「定期的に更新をすること」「売り込みをしないこと」を特に心がけています。FacebookやYoutubeを始めたのはいいが、結局やめてしまう方が多いです。FacebookやYoutubeをやればすぐに稼げると思って始める方が多いのと思いますが、こういったツールは長くやったからこそ結果が出てくるものです。
さらに、FacebookやYoutube等はクライアントのお役に立てる情報を発信したり等、信頼関係を構築するツールとして使うのが一番だと僕は思っていますので、ほとんど売り込みはしません。
仮に売り込みをするとしても、信頼関係を構築した後じゃないと効果はあまり見込めません。あなたも見ず知らずの人から「◯◯買ってよ」と言われても胡散臭くて買わないですよね?それと同じです(笑)
活用前と比べた時の変化は、お問い合わせの数がかなり増えたことですね。
知り合いに社労士がいるという方はまだまだ少ないのが現状だと思いますので、それならYoutube等で顔を知っている清永にしよう、となるみたいです。
そこから契約に繋がったことも多々ありますので、欠かせないツールですね。
また差し支えなければこうしたWEBからの集客の割合は、全体の何割程になるかお教えいただけますでしょうか?
――WEBからの集客割合については、全体の7割以上ですね。ネット以外の場で僕があまり営業をしないのも原因だとは思いますが…(笑)
弊社も社員満足度向上の為にさまざまな施策を打っていますが、どのように「社員満足度」を測定すればいいでしょうか。
また、なにをもって向上したと考えていけばいいのかのヒントをいただけますでしょうか。
――社員満足の測定については、売上等と違い数字で判断できないので非常に難しいです。
当事務所などが扱ってるES診断をするのが一番なのですが、それ以外の方法としては「社員さん一人ひとりと本音で話し合い」をすることです。
また、「一対一」が理想です。場所は居酒屋など話がしやすい場がいいです。
社員さんが多い企業ですとかなり大変な作業になりますが、やはり社員さんの満足度については社員さん自身に直接聞くのが一番です。
商品開発もマーケティング活動もまずはお客様のリサーチ(ヒアリング等)から始まると思いますが、それと同じで社員さんの満足度を測定するのならば社員さんへのリサーチが不可欠です。
ただ、不満などはなかなか上司に言わないので、そこをどうやって言ってもらうかが鍵になります。
何を持って向上したと考えればいいのかについても同じで、施策を打った後、定期的に社員さんへ聞くことです。
「施策→ヒアリング→施策」とPDCAサイクルを回して、どんどん改善をしていくことが重要になります。
今後の清永様のESコンサルタント社労士として展望をお教えいただけますでしょうか。
――僕の経営理念である「4方良し」、つまり3方良しである「買い手良し、売り手良し、世間良し」に「社員良し」も追加した4方良しを1つでも多くの企業さんで実現し、その企業さんとその企業さんに関わる全ての人達を幸せに導いて行けるようこれからも活動を続けていきたいと考えています。
今回のインタビューを通して
清永社労士の「士業」と「なにか」を掛け合わせて業務を遂行することで士業単体では得られなかった顧客を巻き込み仕事をとっていく姿勢は、参考になりそうです。清永社労士自身も「他社労士さんと差別化を図っている」と仰られているように、同業他社の中でどう違いを見せていくかというのは考えなければいけない点ではないでしょうか。
インタビュー
LeadClover社労士事務所
代表 清永 仁
事務所HP:http://leadclover.com/