スマートフォン(以下スマホ)対応をしていないサイトをスマホで閲覧した時に不便を感じたことはありませんか? ズームしないと文字や写真が見えづらいといった視覚的な問題や、ボタンが密集していて指で押しにくいといった操作性の問題など多々あり、ユーザーにいい印象は持たれないでしょう。そこで、サイトの制作またはリニューアルを行う際、スマホにも対応させる方法の一つとして、レスポンシブWEBデザインというWEBサイト制作方法があります。この制作方法を使うことで、PCサイトとは別にスマホ専用サイトを作ることなく、一つのサイトでさまざまな端末に対応させることができます。スマホ対応策の一つとして「レスポンシブWEBデザイン」を取り上げてみたいと思います。
レスポンシブWEBデザインとは?
スマホやiPadといったタブレット、PCなどのディスプレイサイズに応じて、WEBページを最適なレイアウトに切り替える制作技術が、レスポンシブWEBデザインです。トヨタ自動車のホームページを例にとってみます。
このように、デザインはPCサイトと同じですが、スマホで開いたときにはスマホ用に最適化されたレイアウトやボタンの配置になるというものです。WEBサイト閲覧中にスマホを横に傾けても直ちに最適化してくれるので、ストレスのない閲覧が可能になります。
レスポンシブWEBデザインのメリット・デメリット
メリット1. 制作コスト削減につながる
PCサイトとは別にスマホ専用サイトを作る場合は、単純に考えると仕事量が2倍ですから2倍近いコストがかかると言われています。しかし、レスポンシブWEBデザインでWEB制作会社に依頼する際には制作側からすると1つの作業で済むので、その分費用を抑えられることが多いのです。ページごとに特殊なコーディングが必要になってくるため、PCサイトのみを制作する場合よりも若干費用は多くかかりますが(当社では約1.5倍)、スマホにも対応できること考えると結果的にはコスト削減といえるのではないでしょうか。特に、制作するページ数が多くなるにつれて、そのコストの差が非常に大きくなっていきます。
メリット2. 二重更新の手間がなくなる
例えば定期的にブログを更新していると、PC用とスマホ用の両方更新するのは二度手間です。その点、レスポンシブWEBデザインではベースのプログラム(HTML)を一つにまとめているので更新を一本化でき、二重更新の手間がかからないのです。また同様に、サイト自体に新しいコンテンツを追加したい、といったような場合。このときも更新が一本化でき、その結果、更新コストの軽減にもつながると言われています。
メリット3. Googleが推奨
レスポンシブWEBデザインでWEBサイトを制作すると、一つのURLをPC用とスマホ用の両方で兼用できるようになります。GoogleはURLが統一されていることが、ユーザーと検索エンジンの双方のメリットであると捉えており、公式ブログでこの制作方法を推奨すると明示しました。このことから、URLの統一がSEOの面で有利に働くと一般的には考えられるようになり、Googleが推奨したことはレスポンシブWebデザインが大きな関心を集めるきっかけになりました。
デメリット1. デザインにおける制約が多い
多種多様なディスプレイに対応させなければならないため、デザインやレイアウトにおける制約が多くなると言われています。スマホに最適化したデザインを新しく作るのではなく、基本のデザインはPCサイトと似たようなものになるので大胆にデザインを変更するのは難しいですし、レイアウトの自由度にもある程度制限があると考えていいでしょう。
デメリット2. サイトが重くなる可能性
ある画像をPCでは表示してスマホでは非表示にしたいという場合があるかと思います。その場合、PCとスマホで同じHTMLを利用する都合上、スマホでは非表示に設定した画像も表示はしないものの裏で一度読み込む作業は行います。つまり、ユーザーがスマホで閲覧をする際、「画像が少ない割にサイトが重いな」と感じられる可能性が考えられます。
これらのメリット・デメリットを考慮して、PC用、スマホ用と別サイトに分けて制作した方がいい場合もあります。このあたりは、デザインや、目的などによって、ケースバイケースでの判断ということになるでしょう。
シニア世代もスマホに移行しつつある
スマホからのインターネット利用者数が増加している中で、50代以上のユーザーの利用増加率が他の世代と比べて特に著しいことはご存じでしょうか。ニールセン株式会社が、2013年4月と2014年3月のスマホからの性年代別利用者数と増加率を発表しています。
男女とも50歳以上の増加率が最大となっています。絶対量は他に若干劣るものの、シニア世代もスマホを使ってインターネットを利用する傾向にあるようです。これは士業の世界でも大きな意味を持つでしょう。若者向けにスマホサイトを制作する企業は多いですが、いまや若者に限らず、ほとんどの世代が、スマホからの集客を見込める時代になったということではないでしょうか。 スマホからの集客を視野に入れ、サイト閲覧者が電話での問い合わせがしやすくなるように、早めにスマホ対応をする意義は大いにあると思います。
今回のまとめ
- レスポンシブWEBデザインとは、端末に応じて最適な画面レイアウトに切り替わるようにするホームページ制作手法のこと。
- 【メリット】
①制作コストを削減できる
②スマホサイトとPCサイトでの二重更新という手間がなくなる
③Googleが推奨する制作方法なのでSEO対策に有利と考えられている - 【デメリット】
①デザインにおける制約が多くなる
②サイトが重くなる可能性がある - ほとんどの世代がスマホに頼るようになってきた以上、士業のネットからの集客において、サイトのスマホ対応は問い合わせ数を伸ばすきっかけになりうる。
<参考サイト>
スマートフォンからのネット利用者は直近1年間で1,100万人増加 ~ニールセン、2013年度(2013年4月~2014年3月)のネット利用動向を発表~
http://www.netratings.co.jp/news_release/2014/04/Newsrelease20140423.html