税理士とゲームサウンドクリエイターの関係性と聞いてどんなイメージをもたれますでしょうか?
一聴すると畑違いに感じられる組み合わせですが、元ゲームサウンドクリエイターでありながら税理士としてご活躍されている方がいらっしゃいます。
高井税理士は現在、税理法人タカイ会計の代表を務めており、経営シミュレータ等の独自サービスの提供や、クライアントに寄り添ったコンサルティングサービスを通して中小企業のサポートを行っています。
今回はそんなゲームサウンドクリエイターから税理士に転身された高井興税理士(以下、高井税理士)にインタビューをさせていただきました。
■ゲーム会社でのキャリアがどのように税理士業務に活きているのか
高井様は大学卒業後大手ゲームソフト制作会社に就職され、ゲーム音楽の制作やディレクション業務を行っていたという税理士として非常にユニークなプロフィールをお持ちかと思います。
ゲーム会社で習得したスキルが後の税理士業務に活きているなと感じる点はありますでしょうか。
――ゲームソフト制作会社時代のお話をさせていただくならば、ゲームソフトメーカーNO,1という事に猛烈なプライドを持っている会社でしたので、「仕事のクオリティーは圧倒的であれ。ユーザーに驚きと感動を与えるのがお前たちの仕事だ」と教わってきました。
そういった意味において業界が変わっても、税理士事務所の本来業務(決算、申告書)のレベルが高いことは当たり前で、 お客様に「驚きと感動を与える」ために何をすればよいのかということを探し続けるという姿勢は、ゲームソフト制作会社勤務時代の経験が活きていると思っております。
その結果、現在では税務調査での修正申告率は30%以下という、業界水準をはるかに上回る業務品質となっています。
また、中小企業の成長をサポートすべく、独自開発の財務シミュレータを使って月次でお客様に財務コンサルサービスを提供することにより、 付加価値サービスにおいてもお客様よりご好評をいただいております。
その結果、お客様の黒字率も70%と高く、成長企業が多いのも弊社の特徴となっております。
さらに、今秋リリースした、経営をボードゲーム感覚で学べる「マネトレ(商標登録出願中)」というサービスをリリースしました。
これも、従来型会計事務所の枠を超えて中小企業のサポートをしたいとの想いから生まれたサービスとなります。
大手ゲームソフト制作会社から税理士界への転身の際に、どのような「良かった事」と「苦悩」がありましたでしょうか。また、独立した際の経験と合わせて、お答えいただければと思います。
――まず、資格を取らなければならない、仕事を覚えなければならないという事で、覚悟はしていたものの、想定以上に大変な数年間を過ごしました。
大卒で会計事務所に入社した方には大幅に後れを取っていたわけですから、追いつくどころか追い越すつもりでやらなければならないということで、 勉強も相当ストイックにしましたし、税理士になれてもビジネスとして勝たなければ意味がないので、同業者情報も積極的に集めました。
おかげで、現在でも同業者のHPを見て回るのが日課となっております。
今から振り返ってみると、良かった点は30代前半で独立開業→営業の大変さを経験→独自性を出す大変さを経験した(乗り越えてきた)おかげで、今現在も様々な課題がありますが、さらなる高いステージに上がるべく努力し続けられるモチベーションが保てているといったことでしょうか。
■集客・地域展開に対する考えと、今後の展望
WEB集客に関して注目されている税理士の方が多いのですが、高井様はWEB集客に関してどの様な展望をお持ちでしょうか。
――今までWEB集客に成功した事がないので、弊社自身のためのWEB集客には否定的です。お客様でWEB集客で大成功されているところが何社もあるので、WEB集客そのものを否定するわけではありません。
ただ、弊社サービスはWEB集客には向いてないと考えております。
地域展開(名古屋・三重)されておりますが、地域によって客層や案件に特徴はありますか?また、WEBからのお問い合わせに関しても差はありますでしょうか?
――会社数の分母が多いという事もあり、名古屋のお客様のほうがエネルギッシュな方が多い印象ですが、基本的には差はないように思います。
今後の税理士としての高井様の展望をお教えいただけますでしょうか。
「経営者にもっと経営者らしくなってもらいたい。」
「経営者に数字を使った経営をしてもらいたい。」
「中小企業の元気のために」
これらをテーマに、これからも様々な中小企業向けサービスの開発・提供を、会計事務所という枠を超えて行って行きたいと考えております。
ありがたいことに、弊社も今期で10周年。
実質3名+アシスタント1名で始めた人数も、現在10名まで拡大することができました
これからも、地に足をつけお客様に寄り添い、良質なサービスを提供しながら成長していきたいと考えております。
■今回のインタビューを通して
仕事の中心には「お客様」がいるという真摯な姿勢はビジネスパーソンであるならば誰もが見習う点であり、中小企業を活気づけていくという熱い気持ちがインタビューから伝わってきました。
ゲームサウンドクリエイターとしての経験から得た「上のステージを目指す姿勢」や「お客様に対して100%以上のサービスを提供する心構え」を転身された後も絶やさず持ち続けている高井税理士。
――税理士になれてもビジネスとして勝たなければ意味がない。
――経営者にもっと経営者らしくなってもらいたい。
「会計事務所の枠組みを越えて挑戦し続ける」という高井税理士の言葉は、お客様と共に成長していくという意思の表れの様にも感じました。
インタビュイー
■高井興税理士
税理士法人 タカイ会計 代表