プレスリリースは、企業や当事者が報道機関やメディアに向けて情報提供、イベント告知、研究や調査結果を公表することを指します。かつては、報道機関やメディアなどに対してFAXやメールなどで送付するかたちが主流でしたが、今ではプレスリリース配信会社に配信(掲載)依頼をすれば、ネット上のプレスリリースサイトにも掲載されるようになっています。
今回は、なるべく多くの士業の方に広報のひとつの手段となり得るプレスリリースについて知っていただきたく思い、士業によるプレスリリースの事例、プレスリリースのつくり方などについてお伝えしたいと思います。
世の中のニュースのソースは記者の独自取材もしくはプレスリリース
報道機関やメディアに対し、情報提供、イベント告知、研究や調査結果の公表をプレスリリースとして送付したあと、報道機関やメディアの編集部などがピックアップを行い“採用されれば”記事として掲載され発信されます。報道機関やメディアが毎日、いえ、随時、発信している大量のニュースは、報道機関やメディアの記者が足しげく取材をして得た情報や企業などから配信されたプレスリリースが1次ソース(出どころ)となっているといって良いでしょう。
現在は、インターネットの普及によって、プレスリリースサイトも誕生し、主に企業からのプレスリリースの掲載を行っています。プレスリリースサイトは、大きく2つに分けられ、有料で必ず掲載されるものと無料でプレスリリースサイト運営会社がピックアップをして掲載をしてくれるものの2種類があります。プレスリリースサイトは、報道機関の記者はもちろんメディアに携わる方は常にチェックしています。そのため、プレスリリースがソースとなって大手メディア媒体に即日もしくは後日、ニュース記事として採用されることもありますので、広報戦略としては“転載されれば”その効果は大きいといえます。
ただし、プレスリリースサイトの運営会社によっては、申し込み時に審査などがあります。なかには、基本的に法務局に登記されている法人でなければ掲載や配信が難しいとしているところもあるようです。
士業のプレスリリース事例と採用されやすいニュースとは?
調べてみたところ、大手法律事務所(弁護士法人)によるキャンペーンの告知、税理士法人の対応エリア拡大の告知、司法書士法人の専門サイトのオープン情報などが配信されていました。やはり、法務局に登記している士業法人は積極的にプレスリリースを活用しているようです。そんななか、先月、無料プレスリリースサイトに個人の士業事務所におけるサービス提供開始のお知らせも、採用され配信されていました。
これらを踏まえて採用されやすい士業に関わるニュースはどのようなものがあるかを考えてみたのですが、振り込め詐欺や労働紛争問題など社会全体の問題となっている事柄についての無料相談会など不特定多数の人に大きなメリットのあるイベント告知のほか、士業だけではなく全体にいえることですがアンケートを実施したり独自調査をしたりした結果や、研究事業などの成果公表は、プレスリリースサイトも多く掲載・配信しているのが見受けられます。
プレスリリースは、プレスリリースサイトに掲載をお願いできますが、審査があります。しかしながら、先述したように不特定多数の人にメリットがあるニュースであれば個人の士業事務所でも採用されることがありますので、一度は掲載を掛け合ってみるべきです。
確実に伝わるプレスリリースのつくり方
不特定多数の人に何を伝えたいのか?伝えるべきなのか?を確定させる
プレスリリースには、大きく分けると、情報提供、イベント告知、研究や調査結果の公表の3つがあります。情報提供では、ホームページのリニューアルやWEBコンテンツのリリース、事務所開設や移転、業務提携など。イベント告知は、無料相談会や講演会の実施などが該当します。
フォーマットは6W2Hを基に作成する
多くの人に伝えたいことをWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Whom(誰に)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How much(いくらで)の8つを基に作成するとわかりやすいプレスリリース原稿ができます。
なかでも、Whyは重要!
プレスリリースにおいて、Why(なぜ)は特に重要な役割を持ちます。商品開発に至った社会的背景や、サービス提供開始のきっかけとなったできごとなど“想い”を記載すると読み手をグッと引きつけることができるようで、その手法を多くの企業が採用しています。
想いを伝える以外の部分では、シンプルがベストであり、ダメ押しの表現や文字稼ぎなど手法の一つではありますが、同じ情報を同一プレスリリース内で何度も繰り返すのはあまりオススメできません。また、士業の単位会事務局などにプレスリリース内でNGな表現や表記などを事前確認されることも大事なことであると考えます。
タイミングは告知であれば当日または15日前・7日前・1日前が理想
プレスリリースの配信のタイミングは、表題の4パターンが多いようです。メディア媒体への転載を考えるとどうしてもタイムラグが必要になりますので、余裕をもった配信ができるように動くのが理想です。
ITC代表 石盛丈博氏
(2002年~2010年まで行政書士登録)
まとめ
- プレスリリースは“採用されるかどうかは別として”個人の士業事務所でも報道機関やメディアに対し直接送付できる
- プレスリリースサイトには、不特定多数の人にメリットがあるニュースであれば個人の士業事務所でも一度は掲載を掛け合ってみるべき
- プレスリリースを配信するときは、余裕をもって動くのが理想